CG-ARTSさんとお話ししました。
CG-ARTSさんと前回のピキり記事 を発端としたアニメーション実技試験の取り組みに関してお話ししました。公に載せられないこともあるので、大きく下記にインタビュー形式としてまとめました。
K=熊本
CGA=CG-ARTSさん
CG-ARTSさん主催のアニメーション実技試験2022
K 試験の目的は?
CGA アニメーター志望の学生の実力を測ることと、アニメーション技術の向上を目的として考えています。
具体的な内容としては、動画を提出してもらった後にプロからのフィードバックシートをお返ししているのですが、毎年度改良を重ねておりまして、2022年度からは基礎評価の項目を拡張したり、いいね!評価企業の参加数を増やしたり、各社の総評を掲載したりと、そのフィードバックシートを見て、さらにクオリティアップできるような取り組みをしております。今年はリテイクチャレンジ制度もスタートしました。
K 絵コンテの通りに作るということを採点の重きに置くと、只の使い捨て作業者を探しているようで印象悪く感じる人もいるかも。おれのようなひねくれものが。
CGA もちろんそんなことはなく、この試験は基礎点、企業点、いいね評価と評価軸がいくつかある中で、コンテの意図に沿っているかを確認する項目もあれば、コンテの行間を読む必要のある項目も設けております。 やはりコンテに書いてあることだけ表現しても、表現として足りない面もあるので、コンテの行間を読む力も大変重要なことだと考えています。 先の目的の通り学生アニメーター志望の子たちのお手伝いが出来ればと思うので、そういった印象を与えないように「コンテの通りに作ることを一番の目的(採点が高くなる)とする」を全面に出すのではなく、行間を読むことも重要ということも、次回以降の試験内容でどう発表すればよいか、企業様と相談していきたいと考えております。
K 今回の自分のイチャモンで、じゃあ絵コンテではなく字コンテベースにすればいいとも正直言いきれない ですよね。ゴリッと参加者が減りそうなので。理由は字のみだと、そもそもどういった絵を作るのが正解かわからない子が試験に参加できない、しようとしないと思うから。
ちなみに実技試験の学生の人たちには絵コンテから動画を作ったのは初めて、絵コンテというものがあるのを知ったのが初めて。という方も少なからずいたそうですね。
CGA そうですね。実際「初めて絵コンテをみて作る」という方も多くいらっしゃいました。字コンテのみだと難易度が高くなることで、やってみようという方が減り、多くの学生の方たちにアニメーションの仕事、現場の仕組みを知って頂くことが難しくなる。なので、絵コンテベースを次回も採用していく形は変えずにと思っています。絵コンテ→動画という基礎をやはり体験しているのとしてないのとでは、プロの現場に行ってからも、現場の人も学生もお互い大変困ると思うので。
K ですね。あとはやはり、コンテをそのまま再現することが正解、という印象を学生たちに与えないことが重要になってくるのではないかと。
CGA そうですね。大変重要な部分なので、そこも合わせて次回更に試験を練っていければと思います。
K 自分みたいに「想像力を鍛えるのが先」派と「基礎を固めるのが大事」派はニワトリが先か卵が先か論と同じで、決着がつくことは無いのですがどっちも大事だと思っています。CG-ARTSさんは「基礎を固めるのが大事」とお考えの上、実技試験をやられているかと思うので、そこも大事だと思うので今後も試験を楽しみにしております。
CGA ありがとうございます。色々な意見を頂くのはほんとに大事だと思っておりますので、いつでも言っていただければ嬉しいです!貴重なご意見ありがとうございます。
ざっくり書くとこんな感じでしょうか。話した感じ、CG-ARTSさんはとても真摯に業界の教育と向き合っているように感じました。
また、これは前から言われてることですが「すべての学校にいい先生がいるわけではない」ので、CGアニメーターになりたいがどうしたらよいかわからない。という人たちに少しでもこういったイベントがあることが届けばいいなと。そういう意味では件の記事が結構人の目に触れたことはよかったかな、とは思います。
CG-ARTSさん、とんだ交通事故にあったのにも拘らず真摯に対応してくださりありがとうございました。
熊本
Mar.20.2023
コンテベースのコンテストにおれがピキる訳
どうも。CGアニメーター兼株式会社BIGFOOT代表の熊本です。2017年のこの記事 でもアニメータードラフト会議についてピキッてましたが、あれから数年、まだコンテベースのコンテストが行われてたのにビックリしたので、思いのたけを書きたいと思います。
ていうかアニメータードラフト会議の尺まだ45秒とかだったんすね。しかもコンテベース。
…ピキッ
まあ今回はこちらのコンテベースのコンテスト記事(試験と銘打ってはいますが)を中心にお話ししていきます。
CG-ARTS様主催 アニメーション実技試験2022
ちなみに最初に断っておくと、アニメーションコンテスト自体はおれは全く反対ではないです。むしろ賛成。大賛成です。CG-ARTS様イベント開催誠にありがとうございます。
ただ!!!
募集内容が文字ベースじゃダメなのん?てことなんですよ。理由は下記のとおりです。
①兎に角最近の若い子たちはもうメッチャクチャ素直なので、絵コンテで先に「答え」を見せてしまうと、若者たちはそれしか出してこない。素直だから。それって果たしてクリエイティブなのか?
②結果同じような動画を繰り返し審査することになる。 審査員たちの苦痛は容易に想像できます。もしかしたらここで若者に「今の若者はどれも同じような奴ばかりだな‥」という印象を持たれるかもしれない。いやアンタらが決めたことやん。と突っ込みありそうですが、募集内容を考える人たちと審査する人たちは別ですよ。多分。
③審査結果発表の動画も似たり寄ったり。若者たちは達成感を感じられないのでは? また、数ある動画がそんなに違いがないことに面白みを感じるか?もしかしたら「同じようなものが上位に入っている…よくわからない業界だな」という印象を持たれるかもしれない。
④オーディエンスが動画群を見てて全く面白くない。下手したら3 本も見ないのでは。
上記4つの理由からおれはコンテベースに「デメリットしかないんちゃう?」と思ってます。
コンテ通りにあげてくる能力の何が問題なの?という方もいらっしゃるかと思います。ハイ!そう思ったあなた!自分たちがいる業界はどんなとこでしたっけ!?
我々がいる業界はクリエイティブ、モノツクリする範疇の中にありますよね??おれたちってただ言われただけのモノ作ってりゃいいだけの存在でしたっけ???AIがあーだこーだ勢いを増している中、そんな「言われただけのモノしか作れない人」ってどうなると思います?それ未来ありますかね?
それでもコンテを見せ、その通りに上げてくる人を高得点とする、というコンテストを続けるのはお互いの未来を考えず、都合のいい使い捨て作業者を求めている感じがして、印象悪く感じます。 おれの被害妄想でしょうか。
おれたちはクリエイティブな、面白い映画、映像、ゲームに魅かれてこの業界に入ってきたはずです。コロナ禍で希薄になりがちですが、チームでモノづくりしていく業界ではなかったでしょうか?面白いものを、楽しいものを作る、そういう業界ではなかったか?言われたことだけやってくれる作業者を主に求める業界だったのか?
ちょっと話が大きくなるかもですが、日本の人口減少は避けられません。ということは業界の縮小、アーティスト数の減少も避けられない。そんななか、ただ言われたことをやる人を求めるのは間違ってないですか?また危険だと思うことは、若者らは素直なので「これが求められている、これが正解なのだ」と思いこんでしまうことです。
今の若者らは本当に素直です。不安に思うくらいに。そんな素直な子らが大人の都合で時間を無駄に使われているのは心苦しい。とか書くとおれがまるで若者の味方みたいに勘違いする方もいらっしゃるかもですが逆ですよ。おれ以外のCGアニメーターは全てライバルであり、商売敵です。
互いに切磋琢磨して高まっていきましょうよ!アニメーションで殴り合おうよ!! この業界、本来は魑魅魍魎ばかりでマジ楽しいんすよ!
業界片隅のイチアニメーターが叫ぼうが何も変わらないと思うし変えようとも思ってませんが、長いことお世話になっている業界がこのままゆっくりと腐り、よどみ、暗く、面白くない、魅力のない業界になっていくのはとても嫌なので書き残しておきたいと思い、ピキッた理由を書かせて頂きました。
面白い、楽しいものを作るには自分が楽しいと思えるものを作らないといけないと思いますよ。
あ、ツィッタにも書きましたが、ただ言いっぱなしだと無責任だしフェアじゃないかなと思うんで、もしCG-ARTS様のアニメーション実技試験が文字ベースになり、かつ10秒以内になったらおれ参加したいとおもいます。ペンネームで。よろしくお願い致します。
熊本
↓「文字ベースつってもどんなんがいいんだよ。」というかたに。
第一回アニメータードラフト会議(2015年)
株式会社カラーアニメーター採用試験(2014年)
Mar.16.2023